11月 カルチャー会@信楽を開催しました


大阪異業種交流プラザの11月は、「カルチャー会」として「文化」、「芸術」について学習する会です。

 昨年は、伊賀でした が、今年はその隣の信楽でした。

信楽といえば、「たぬき」の置物が有名ですが、今回の会の趣旨は、『”たぬき”を超えた、紫香楽(信楽)の歴史と未来を訪ねる』で、信楽で陶芸物で新しい事業展開にチャレンジされている紫香楽ラボ株式会社さんの、ビジネスの目的、展開について知ることをメインとして、その背景にある、信楽(紫香楽)の歴史も学習することを目的として開催しました。
 紫香楽ラボ株式会社は、『信楽の豊かな自然と文化を継承し、新しい文化を創造する 信楽焼き製品の研究・開発』を目的として活動し、素材(当然、素材は土でしが)に新しい機能を持たせ、その商品開発を従来の焼きのもの概念にとらわれず、デザイナーなどと開発し続けています。
 こうして開発された製品は、中国などでも人気が出て、売上としても実績が出てきているそうです。

https://shigaraki-labo.co.jp/product/

 今回の例会では、紫香楽ラボ株式会社代表取締役の寺脇達夫様に会社での事業展開はもとより信楽の歴史とものづくりの精神について講話をいただいた他、その他の見どころのスケジュール等、すべてお膳立てしていただきました。

閑話休題:信楽といえば、ユーモラスなたぬきの置物としか思っていませんでしたが、なりほど、多くの方がたぬきを家に置くのは、非常にめでたい「縁起物」であることを初めて知りました。

信楽狸の八相縁起(https://www.nobuyukioshima.art/2013/07/tanuki-hassouengi.html より)
Google Geminiからの引用

1.まずは、紫香楽宮跡

 紫香楽宮は、奈良の大仏の建立で有名な第45代天皇 聖武天皇(701~756:在位724~749)が設立した都です。
聖武天皇の治世初期に、は長屋王が実質政権を担っていたが、藤原一族(藤原四兄弟)による長屋王の変で自殺、その後の藤原四兄弟もほぼ同時期に急死など政権の混乱や相次ぐ災難に戸惑ったのか、平城京を後にして、5年に及ぶ「伊勢行幸」に出発したとのことです。

『よみがえらそう 紫香楽宮ー紫香楽宮と甲賀寺ー』(甲賀市教育委員会/編)より

 その最初に恭仁京(くにきょう/くにのみやこ)に遷都し、その後、紫香楽村への行幸の拠点として、紫香楽離宮その後紫香楽宮として造営されたという経緯があります(それも、744年までの2年程度だったとのこと)。
 その後は、難波宮、そして5年後、平城京に再度戻ったというように、目まぐるしく都を移転していた歴史があります。

 この経緯からは、紫香楽宮は一時的な天皇の執務場所のようなイメージですが、遺跡発掘されるとともに、たいそう立派な「宮」としての規模を持っていたようです。


 周辺の発掘調査は現在も続けられているようで、紫香楽宮の調査を巡る情報は、今後もアンテナを張っていきたいと思いました。

紫香楽宮跡関連遺跡群発掘調査事務所(出土遺物展示室)

2.陶芸の森・ 陶芸館及び産業展示館

 やはり信楽は陶芸の都。その陶芸に出会えるのが「滋賀県立陶芸の森」。
陶芸の森は『信楽を一望できる緑豊かな丘にある施設』の名の通り、公園としてもたいそう景色にも恵まれ。
 『「陶芸館」、ショップやレストラン、信楽ホールを併設し、信楽焼のさまざまな産業製品を幅広く展示・紹介している「信楽産業展示館」、国内外の陶芸家が集い滞在制作を行う「創作研修館」の3つの施設がある』

 ここでは、ほとんど「たぬき」さんには出会えません。「たぬき」は、信楽の道路沿いのいたるところで出会えます。
 「陶芸館」では、九谷焼の「赤絵」『江戸時代末期から明治時代にかけて登場した様式で、鮮やかな赤色で描かれた緻密なデザインが特徴』の展示がありました。
 じつに緻密で細かな装飾の陶器類で驚きました。

3.窯元「宗陶苑」さんでの陶芸体験

 さて昼食を、「魚仙」でいただいた後、窯元「宗陶苑」さんでの陶芸体験です。
 きめ細やかな粘土の手触りが心地よく、無心で土に向き合う時間は、まさに童心に返る感覚でした。
 体験では、指導の先生の元、皿やマグカップを作成しましたが(ロクロの扱いは思った以上に難しかったです)。実際、試行錯誤で焼き上がり結果を確認できないので、取手が取れないか、ちゃんと繋がっているか・・・出来上がりの不安・楽しみです。


 作陶後の焼き方がは、ガス窯と登り窯があるのですが、せっかくなので伝統の「登り窯」で焼き上げてもらえるようにしました。

登り窯

 登り窯は、「薪」で炊くので、1回の焼きに「薪束」が1000個必要とのことで、これもあって年2回しか、窯に火が入らないとのこと、焼き上がりは来年の春だそうで、季節が巡るのを楽しみに待ちたいと思います。
 登り窯:全長20mの登り窯。茶道具や食器、狸、傘立て等の大物から小物まで様々な製品を1度に15,000点ほど焼き上げます。

宗陶苑」でのたぬき置物

4.番外「煎茶道」
 陶芸作品のショップでは、ご主人が煎茶道のお点前でもてなしてくださいました。急須から広がる茶の香りや甘みと渋みに感嘆の声が上がりました。
 普段お茶は、大量にガブガブ飲んでいる身としては、こんな少量ずつを5分程度に1回味わう、まさに「道」は、衝撃的な体験でした。

古き良き文化を味わいながら、新たな発見を重ねる―。まさに“ディスカバリー・ジャパン”を体感した一日となりました。


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